2020年9月18日2 分

カッサカサ鹿革エプロン息を吹き返す

人それぞれ、お気に入りの、ずっともっているものってあると思う。

私のお気に入りは、鹿革のエプロン。これは、革や靴関係の仕事を選んでいる私の、一番最初のスタートとなったオーダーシューズのお店で使っていたもの。パリコレの靴も手掛ける靴職人である先生が作った一枚革で贅沢なものだ。最近ずっと使っていなくてしまいこんでいたのを、久々に引っ張り出してみた。

かれこれ10年くらいしまいこんでいたので、カビでも生えてるんじゃないかとおっかなびっくり広げてみたけれど、幸いご無事で。ただ、かつての私の涙と冷や汗の結晶のようなその存在は、記憶をしっかり過去にしたようで、随分と銀面がはがれてカッサカサな手触り・・・。靴材料部と手芸部と、両方に持って行って相談し、染みにならないよう気を使ってお手入れをして、もう一度現役に戻してあげようと作業台に広げた。

まだ銀面がそれほど剥がれていない左上の胸当て部分に手でオイルを塗ってみると、染み込んだ跡が数日間なかなか消えなかったので、銀面が剥がれている下の方はより慎重に、布にオイルをとって揉みこんで、革に叩き入れるように薄く入れていった。それを五日間くらいに分けてやると、ずいぶん手触りがしなやかに変わって潤いのある革に変わった。特別なことをしたわけではないけれど、革が元気になった感じ。銀面が剥がれていても、それも味、前より年季が入って、くたびれながらもいい感じだ。

家で眠っている大事な革小物、ありませんか?ほんの少しお手入れするだけでも革が喜んで、時が経ったなりの良さを見せてくれるかもしれない。革の種類や状態によって使えるオイルやクリームが違うので、心配な時は相談にきてくださいな。

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